バニラ

「くくくくっ」

和臣さんは私の言葉に、

可笑しくてしょうがないように笑った。

ええ??

こんな風に笑っちゃう人??

いつだって優しいほほ笑みで私を包んでくれたのは誰だったの?

「ごめん。可愛くてつい。」

くすくす笑いながら私の頬に手添える。

「それに嬉しくて。

 なんだかやっと手が届いた気がする。



 亜美ちゃん。」


「は、はい!」

「君が好きです。」


ずっと夢でもいいから聞きたかった言葉。

バニラのような甘い空気

今までの私達の間には無かった空気は、

わたしから自由を奪う。

まるで、急に水槽から出された金魚みたいに、

やたらパクパクと口呼吸する。


「わ、……

 私っ

 わたしっ


 私も、

 好きです。」


一言を言うのにかなりの時間がかかったけど、

和臣さんはずっと私を見つめて待っていて、



「やっとつながった。」


待ち構えたように私をギュウっと抱きしめた。

抱きしめながら、

「照れるな。」

と、とてもうれしそうにくすくすと笑った。

か、かわいい。

って、ええ~~~?

こんな和臣さんみたことないですよ?

面食らうというのはこういうことを言うんだと思った。

まるごと紳士見たいな和臣さんの姿はここには無い。

勝手に偶像化してた所があったかも、


「あ……」


抱きしめらてくれた和臣さんからふわりと漂うバニラ


「ん?」


「バニラの香りが……」

「ああ、さっきワッフルの生地仕込んでたからかな?」