想像していたより、はるかに上手だな。

今は踊りながら考え事をしているのか、心ここにあらず、といった印象を受けるが・・・。

ゆのはハジに導かれていながらも、洗練とした動きで見ているものを引き付けそうだ。


しかもこの流れるような漆黒の髪ーーー

ターンする度にポニーテールがなびく。

当日はドレスだろうし、オズは目が離せないだろうな・・・。

着飾ったゆのを想像し、満足げにハジは頷いた。




どんな女なのか、まだわからない。
オズが初めて迎えた側室だから、興味があっただけなはずなのに。

僕を拒む強い漆黒の瞳が、何故か心を掴んで離さない。



噂では、第5王子のテト様もユノのところに足繁く通っているとか?


僕の情報網もなかなか使えるな。

この噂に僕の名前も入ったら、ますますこじれて面白いことになりそう。


人のこじれが大好きなハジに改めて目を付けられてしまったゆのであった。