「お姉ちゃん、お兄ちゃん、
ばいはーい!」
あたしと裕貴くんはさくらちゃんにバイバイと振り返す。
「東雲ってすごいよな」
「何が?」
「俺、そういう東雲好きだよ」
昔、あたしも頻繁に迷子になっていた。
その時、さっきのあたしみたいに慰めてくれたんだ。
だから小さい子を見るとほっとけない。
「俺もちっちゃい迷子になって、
舞お姉ちゃーんって言いたいわ」
「もぅっ、何言ってんの?」
裕貴くんが爆笑する。
冬に見る雪の結晶より、
稀に低い空から出てくる太陽より、
その笑顔が輝いてるよ。
きっとあたしじゃなかったら
イチコロだよ。

