「おーい、ほら早く!こっちこっち!」


勢いよく駆けていく小谷くんにゼエゼエ言いながらついていく。いや、君は身軽だけど私は日用品一式買いそろえてそれを持って走ってるんだから辛いんだよ…分かってくれるかい……


あの後、まずは日用品を買わないと生きていけないという話になり、それを買いに走った。

私が要るものを買い揃えているうちに(奇跡的にお金はあった)、一番部屋が綺麗で家事ができる(らしい)小谷君の家に、とりあえず一週間お邪魔することになった。(正直とても不安)

皆が家路について二人きりになった後、「おれ、あのアニメ、てかマンガの中で一番恵那ちゃんが好きなんだ!握手してくれ!」とキラキラした目で言われた。とても困った。そのうち色紙とサインペンを持ってきてサインを迫られるかもしれない。とても困る。

そうこうしてるうちに一件のアパートが見えた。そこの階段を上って二階の一番奥の部屋の前に立つ。


「恵那ちゃん、ここが俺の家」

「へー、そうなの」

「おう、まあとにかく入れ入れ」

「え、あ、えっと」

「ほらほら」

「お、お邪魔します」

「どぞどぞー」



玄関を開けるとまずきれいに整理された靴が見えて彼の几帳面さが伺えた。意外。そのままリビングに通される。ソファとテレビと机がきちんと並べられてて、とりあえず置いてあるもの全てが清潔そうだ。


「改めまして、我が家にいらっしゃいませ!」