とても信じられないし、ホントできすぎた話なので簡潔に言おう。
「私が……ヒロイン?人気少年マンガの…ですか?」
「ああ、お前が野球部のマネージャーをしてて誕生日が4月22日で血液型が」
「おい文也!いくら恵那ちゃんの事が好きで個人情報全部覚えてるからってそんなにべらべら言うんじゃねーよ馬鹿!」
「ハァ?おま、陽太にだけは言われたくねーよ!っ…別に俺は西園の事なんかす、好きじゃねーし」
「何顔真っ赤にしてんだよ、ツンデレかよお前は」
「まあまあ、文也も陽太も落ち着いて。……で、ここまで話の整理はついた?恵那ちゃん?」
いや、逆に聞きますけどいきなり「はい、貴方は大人気少年マンガのヒロインです」なんて言われてすぐ「あ、はいそうですか。」ってなる人いらっしゃいますか!?
「えっとつまり…」
「貴方の世界には、バスケットボールを題材にしたカラフルな人達のマンガはありましたか?」
「はい」
「では駆逐するお話は?」
「あれか、はい、ありますね。」
「じゃあバレーボールとか超次元テニスとか」
「はいはいありますあります」
「それと同じ様に貴方達を題材にしたお話がこちら側にはあるんです。」
「嘘だぁ!」
「本当だよ、恵那ちゃん。君のいた世界とこっちの世界とはまた別物なんだ。とても酷似しているけどね。」
「……解せぬ…。じゃあ向こうの世界に早く戻らなくちゃですね。」
「おう!お前、こっちに来たって事は向こうにもすぐ帰れるって事だよな!?すげー!時どころか超次元までかけてるぜ!」
そこで私は気がついた。
「私、突然こっちに来たんだよね、アスファルトが抜けて滑り台が現れて、気がついたら……」
「…お前、まさか戻り方分からないとか言わねぇよな……言わせねぇぞ……」
相変わらず机に寄っ掛かってこちらを睨む田村くん。
「…私、どうやら、次元を越えて迷子になっちゃった…様です……」