いつも通りの帰り道を歩いていた。辺りはまだ5時になってないのに夕暮れで赤くそまっていて、夏よりも日が短くなってるのをひしひしと感じる。それでも汗ばむ顔を手でぬぐって、髪の毛に手ぐしを通した。親は日本人の割に色素の薄い髪は嫌いじゃないんだけど、色々と面倒なのだ。生徒指導部の先生に髪を染めるなと注意されて、「これは地毛です」と主張するのももう何回目だろうか。いい加減覚えてほしい。そんなことを悶々と考えながら一歩一歩、地面を踏みしめていた。

そんな私は高校一年生の西園恵那。硬式野球部のマネージャーをしている。私がマネジメントをしてる部活について、その野球部員ほとんど全員が何か特性を持ってるんだけどその特性がなかなか揃わなくて成績はサッパリ。そこをなんとか頑張って、夏の甲子園予選ではあと一歩で出れるという所まではいったのだ。あと一歩だ、うん。私が部活を引退するまでに彼らはどこまで成長するかなー、なんて。日々部員のサポートは大変だけどとても楽しい。皆で甲子園優勝という目標を掲げてそれに向かってアタックする。なかなか達成するのも難しそうだけど、絶対やろうって皆で誓ったからきっとできる気がするんだ。

明日は皆に何を作って持っていこうかな。やっぱりハチミツレモンかな?よし、そうしよう!

テンションが上がって、スキップを踏んだその時だった。




「えっ?」



突然道路のアスファルトが抜けたのだ。その穴の先にはパイプの滑り台があって、不可抗力の私はその中に吸い込まれていってしまう。あれ?これってアリスの世界みたいじゃない!?ちょっと待ってよ!こんな事ってあるの?ここ二次元みたいなマンガの世界じゃないんだけど!誰か助けてよ!

必死にもがく。アスファルトにあいた穴の縁に捕まろうとするけど残念。せめてもと思い頑張って上に留まってクライミングを試みるも滑り台が滑ってそれもできず。結局私は滑り台の先の先までおとされる事になったのだ。もう諦めた。どうにでもなれ。




もう何分滑ってるか数えるのも面倒になった時。(あ、履いてる制服のスカート破けてないかな?)突然光が見えてそこに投げ出された私。ドシン、と尻餅をついてしまったじゃないか。

しばらく薄暗い所に目が慣れていたせいで眩しい所で目を開けるのはとても嫌だ。気が進まなかったけど、ゆっくりと目を開ける。飛び込んできたのは見覚えがない、でもどこかの教室の景色と、


「……おい、まさか、」


四人の男の子だった。