……乙女ゲームの主人公たち、いつもビビりで情けないなんて言ってごめんなさい。 どうやっても力じゃ勝てないって頭の中で理解しているから怖いんだね。 「……っ」 怖くて、大樹さんのほうを見れない。 こういうとき、乙女ゲームの主人公はどうやって乗り越えていたのかすら思い出せない。 「うぉっ!?た、高丘、泣くなって!すまん、おれが悪かった!」 大樹さんの手がふっと離れる。 掴まれた手首の痛さも、恐怖もはじめて知ったもの。