「…ごめん、なさい」


誰もいない廊下。
しーんとした空間に、私の小さな声。


泣くな。
泣きたいのは、辛いのはきっと彼だから。


好きでもない人とキスさせられたんだから。



どんなに後悔しても、遅いとはわかってる。

取り返しのつかないことをしたというのも、わかってるけど。


「朔哉、サマ……っ、ごめ、なさ…」



どうして家に帰ったのかなんて記憶にすら、ない。