現実のハッピーエンドなんて、信じてないんだけどね。 でも、朔哉サマの琥珀色の瞳に。 その綺麗な透き通る声に、魅せられて。 無意識のうちに。 「……蒼、サマ」 目線を合わせてくれていなかったら、聞きとれなかったかもしれない。 それくらい、小さな声。 空調の音でかき消されたんじゃないかって思うくらい。 それでも、彼の本当の名前を呼んでいる私がいて。