千博ちゃんは最優秀賞を取れず悔しがってたけど、飲食部門では最優秀賞だったもんね。 『総合での』最優秀賞じゃなかったから、景品はないらしいけど。 朔哉サマもきっと疲れてるだろうに、専属執事をやってほしいなんて私のわがままに付き合ってくれることがとてもうれしかった。 私はただ、明かりがついている教室を目指す。 そして、ゆっくりとドアを開く。 「……お帰りなさいませ、お嬢様」 恭しくお辞儀をする朔哉サマの姿は、千博ちゃんが連れて行ってくれた執事喫茶の執事さんよりも輝いて見えて。