全身が社長で満たされた数分後、部屋のチャイムが鳴った。
あたしの顔は一瞬で青ざめる。
急いで服をかき集め、さっきまでぐちゃぐちゃに乱されていた髪を手ぐしで整えていると、そんな私を見て社長はにやりと笑う。
「そろそろ教えてやってもいいかな」
「な、何をですか?」
「ここのホテルカードキーだから、部屋出たら勝手にロックされるってこと」
「…………」
言われてみればそうだった。
この現場に坂井さんが現れるなんて事は無かったんだ……。
青ざめた顔が一転、かーっと熱くなる。
そんなあたしを見て社長はお腹を抱える。
けれど、どちらにしてもあたしと社長が二人きりで、機材の片付けが全然終わっていないことには変わりないのだ。
不安そうなあたしの表情で悟ったのだろう。
社長は突然、突拍子もない事を言い出した。
「あれ覚えてる?」
「あれ?」
「お前が書いた俺のキャラクター」
「もしかして……面接の封筒に書いたきーだくん……ですか?」
「そうそう、それそれ。それさ、そこのメモ帳に書きながら待ってて」
返事は聞かず、坂井さんを出迎えに行く社長。
あたしは訳も分からないまま身支度をし、ベッドルームを出ると、ミニテーブルの上できーだくんを書き始めた。

