開放感あふれる窓から太陽の光が降り注ぐ中で、社長があたしの背中に手を回す。
こんなに明るいところでまじまじと見つめられるのは、照れてしまって仕方がない。
「あの、坂井さん帰ってきませんか?」
田村アナウンサーを送っていった坂井さんが戻ってくるかもしれない。
もし、こんな現場を見られたら……。
言いようのない不安に潰されそうになるあたしを思い切り無視すると、社長は胸のボタンを外していく。
普段は到底手の届かない未来を乗せて語る饒舌な唇が、あたしだけの為に言葉を紡ぐ。
それは、極上の幸せのはずなのに、心が苦しくなるのは何故だろう。
「さあ?この現場見たら、あいつどうするかな」
どうするかな……じゃないです。
と言おうとした唇に、社長の舌が絡まりそれを制止した。
考えてみたらあたし達の関係にはルールすら存在していない。
分かっているのは最初の夜に”人に見られても構わない”と言われたことくらいだ。
それも今なら理由が分かる。
あたしとの関係が漏れてもいいんじゃなくて、あの週刊誌みたいに誰と噂になろうが相手にしないだけだってこと。
なんて、別のことを考えていたあたしを、不満そうな瞳が見下した。
「何考えてる?」
答えを言わせてもらえないまま、乱暴なキスに変わったから……それから先は、もう何も考えられなかった。
流れにただ身を任せるだけ。

