「う~ん…、さすがに皆帰っちまったか。」
と、俺は佐々木と一緒に6ホームの前で独り言を言っていた。

「なんだ、またあの子に会いたいのか?」
「ちっ! ちがっ…違わないけどそうゆう意味じゃない!」

なぜか佐々木にはあまり生徒証明書のことを説明したくなかった。

「まぁいいけどよ、もういない訳だし、俺らもそろそろ帰らない?」

確かに、待ってて来るとは限らない。 帰ったと考えるのが普通だろう。

「…そうだな。 帰るか。コンビニよるんだったな、行こう。」

「おぅ! シュークリーム食べてぇ!」
俺は明日なら教室でも部活でも会えると思い、佐々木と帰った。

その夜、家に帰り、机に向かって体育館で拾った生徒証明書を眺めていた。

「普通こんな大事なものを落とさないだろう。まぁ俺も携帯を落としていたが。
…あ、もしかしたら俺のせいかもしれないな。 二度もぶつかってしまったのだから。」
と、いろいろ考えていた。

生徒証明書にうつっている女子は、元気な人だということは印象に残っている。

(むこうの女の子がお前に恋をしたかもって言ったんだけど…)

一瞬佐々木の言ったセリフが脳裏を横切った。
「…いや、絶対そんなことねーよ。うん。さすがにそこまで期待はしねーよ? 」
さきほどの佐々木のセリフを否定し、自分に暗示をかけるように言った。

「なんだろなこの気持ちは。 俺は女子に対して人見知りなはずなのに、なぜか気になる…」

しかし、時間はもうすでに11時をまわっていた。

そろそろ眠くなってきた。
俺は今持っている生徒証明書を明日忘れないように鞄に入れて、ベットに入り込んだ。