教室へ戻ったらすぐに虹歌が駆けついてき、
虹歌「どうだった!?」
と言ってきた。
正直、悔しくて答えたくなかった。
花音「選ばれなかったよ…。」
虹歌「…やっぱり美恋ちゃんが伴奏者?」
花音「そうです。やっぱり私なんか無理なんだよね…」
虹歌「しっかりしなよ花音!あんたは、4歳の頃からずっとやってきたんでしょ!?大好きなピアノを今もこうやって続けられてるだけで幸せじゃん!伴奏に選ばれなかったくらい、気にすんな!次、これを励みに頑張りなよ!」
花音「うん…ありがとうございます」
奏人「楽音寺、伴奏者になれなかったの?」
花音「はい…」
奏人「この前の演奏よかったよ。気持ちのこもった良いメロディだった。お前もさっき聴いただろ?水野の演奏を。」
花音「はい、まさに完璧の演奏でした。」
虹歌「やっぱり噂通りか…」
奏人「だがな、水野の演奏は“完璧”すぎるんだ。水野の演奏は楽譜通りすぎて気持ちがこもっていない。優等生すぎる演奏なんだ。俺は、水野の“完璧”すぎる演奏よりは、お前の、楽音寺の心のこもった演奏の方が好きだよ。」
と奏人に告げられ私は気づいた。
たしかに、水野さんは上手かったけど、楽譜通りすぎていた。奏人の言う通りだ。
花音「ありがとうございます。
こんなに励ましていただいて、とても嬉しいです。」
奏人「励まし?勘違いすんな、ただ俺は自己満足で言っただけだ。」
虹歌「花音頑張れ!うちが応援してるから!」
花音「はい!」

―キーンコーンカーンコーン
あっという間に放課後になった。

私はすっかり元気を取り戻した。
また次頑張ろう。
私はそう強く決心した。