―ついに昼休み。
とうとうこの時が来てしまった。
先生なしで私と大和さんだけで練習するらしい。
どうしよう…。心臓がバクバクしている。
でも、練習に集中すれば大丈夫だよね…。
そう思い込み、私は音楽室へ向かった。

音楽室に着いたらもう大和さんはいた。
私は思い切って話しかけてみた。
花音「よろしくお願いしますっ…。」
大和「……。」
む、無視…?
花音「さ、さっそく練習しましょうか。」
大和「あぁ。」
そっけない返事だった。
それよりも練習に集中しないとね。
私はピアノ椅子に座った。
大和「…ワンッツーッスリーッ…」
大和さんの合図に合わせて私は弾き始めた。
だが、弾き始めた途端に大和さんが指揮をやめ、曲が止まってしまった。
大和「全然ダメ。入りをもっと元気よく。最初フォルティッシモじゃん。スタッカートももう少しキレをつけて。あとテンポが少し早い。ちゃんと指揮に合わせて。この曲をスキップだとすると、今の楽音寺の弾き方は走り。楽しく弾いてるのは伝わってくるけど、曲の表現が足りてない。」
花音「は、はい…。」
すごい…。たった少ししか弾いてないのにここまで分析してアドバイスを出せるなんて。
返事はそっけないし喋り方が少し怖いけど、虹花たちが言うよりもいい人なんじゃ…?
大和「じゃあ最初から弾いて。…ワンッツーッスリーッ…」
そして私は大和さんに注意されたところをなるべく直して弾いた。
今回は止められずに最後まで弾けた。
大和「…まあさっきよりはマシだけどまだまだだね。」