「でも、オペラも嫌いじゃない、ひろも男も嫌いじゃない、ならなんで紗絢ちゃん、デートの誘いを断ったの?」
「デート、?」
「おまっ…」
「そう。デート。ひろは紗絢ちゃんをオペラデートに誘ったんだよ?」
「おいっ…お前いい加減にしろよ!」
「もお!ひろは黙ってて!そんなんじゃ実るものも実らないよ!?」
廣木君と芽留ちゃんの小声の言い合いを尻目に、考える。
「(デート…)」
やっぱり、そうだったんだ。
男の子、二人っきり、休日、これらを結び付ければ、“デート”と呼べる。
クラスメイトとの休日、とも呼べるかもしれないけど、芽留ちゃん曰く、やっぱり“デート”らしい。
廣木君には悪いけど…
「(断ってて良かった…)」
妙にホッとし、胸を撫で下ろした。