「ふふっ。まだ高校生だもの。泣きたいときは泣けばいいわ。泣いたら、泣いたぶんだけ、紗絢ちゃんは強くなるのよ? ―――さ、ママは夕飯の支度をしなくちゃ!」 背を向けてキッチンにいくママ。 その足元は軽やかではらはらさせられる。泣きつつも“小火だけは起こさないでね”と思った。 涙を拭い階段を昇る途中に案の定“ガラガラガッシャーン!”と何かが転げた音がしてママはやっぱりママだった。