「なに無視してんだよ!」 「ご、ごめんなさい…」 「テメェに言ってねえよ!」 「つうかお前、A組の糸永だろ?」 「は、はい…」 アイラインががっつり引かれた黒い目で睨まれ、縮こまる。 「“糸永”って糸永紗絢?男子がよく噂してるやつじゃん」 「へぇ、ならコイツが?案外普通じゃね?」 「騒ぐほどでもないよね〜」 「(…ふ、普通なのは承知済みです!)」 じろじろと見定めるように視線が集まり、居心地が悪くなる。