思いに耽け、目を瞑っていれば“久しぶり!”と見知らぬ女が馴れ馴れしく隣に座ってきた。



俺が“久しぶり”と言われたいのはお前じゃねえ、紗絢だ。



イライラしグラスの中身を女の頭からぶっかける。騒ぎ始めた女に目もくれず、立ち上がった。



梯子だ、と智輝に告げれば素直に付いてくる。『糞女共が居ねえところで飲み明かそうぜっ』と肩を組んでくる。いつもなら振り払う腕も、今はどうでも良かった。



今の俺を支配するのはただ一人。






――――‥紗絢に会いたい。






そして俺は溺れた。