俺を嫌いになればいい。






「…一年間、俺は無駄な時を過ごしてきた。学校に来始めた俺に“委員長”は構わなくなり、退屈な授業も放棄して旧校舎に溜まる。マジで、つまんねえ一年間だった」

「ど、どうして話しかけてくれなかったの?もっと早く友達になれたかもしれないのに…」

「…お前に話し掛けたくても、話し掛けられなかった。遠巻きで見るだけで満足してる自分がいたんだよ。俺がお前みたいなヤツに関わると、お前が汚れる気がした」

「そ、んな…」

「…俺はお前が思う以上に汚え男だ。どす黒い腹のうちを抱えて近付こうとしてたやつだぜ?」





でも結局、蜂須賀君は話し掛けてもくれなかった…





「…ま、結局はヘタレだったってことだ」

「…蜂須賀君、わたしに話しかける勇気がなかったの?」

「…ああ。


嫌われる勇気がなかった」





―…自嘲的な笑いを零す蜂須賀君を見て、去年に戻りたくなった。