私より先に配送の荷物が届いて、

店長は待ち構えていたように、


「よく頑張ったね」

とねぎらってくれた。


「力不足でした」


「何を感じた?」


「私の自己満足を満たすだけのものじゃあ、評価なんてしてもらえないんだって思いました」


「そう言われたの?」

「あ、いいえ。

 若さを感じる作品だって。

 これからも努力してくださいって言われました」


「うん。俺もきっとそう言うコメントを言うだろうな」


「あの。

 私はどうしてあそこに呼ばれたんですか?

 地区大会でも駄目だった私が、

 他の人とは実力で差がありすぎて、

 私が行ける場所では無かったんじゃないかって、

 あの、もしかして店長が薦めてくださったんでしょう?」


「この件には俺は関係ないよ。

これ、審査員の寸評見て何も感じない?」

「基本に忠実で丁寧な仕事をしていて好感が持てる。
って言うやつですか?」


「そう、技術や華やかさではしのちゃんはまだまだだとは思うけれど、

丁寧なケーキ作りは俺にもまねできないしのちゃんならではの作品なんだよ。

あれ?奨励賞に不満?」


「不満て言うか、最下位でした」

「はは、そう。そう思ったんだ。

あのね、

 あの場所に行ったってことはもう十分賞に値してるんだよ。

 だから、最下位って賞は無いよ。

 俺もね、最初の賞は奨励賞だった。」


「そうなんですか?」


「奨励賞っていうのはね、見込みがあるってことだ。

 あそこに行って学べるものを吸収して、

もっと大きくなれって期待された者に与えられる賞だよ

もっと胸張ってほしいな。

おめでとうしのちゃん」



「はい。ありがとうございます。」



私ってば、駅から出る時あんなに前向きな気持ちになれてたはずなのに、

また愚痴愚痴と賞のことにこだわってしまった。