ショコラノアール~運命の恋~

「しのちゃんっ」


え?

幻聴?

すでに見えなくなったバスに乗っている人の声がする。

夢じゃないんだから、

そんなご都合主義ないんだから。


頭をプルプルとふって荷物をかき集めた。




「しのちゃん!」


二度目は少し大きなはっきりとした声。


振り向くと息を切らせて走ってくるのは紛れもなくその人だった。



「しのちゃん待って!」


「なお君バスでさっき……どうして?」



息も切れ切れに、私の前まで来て、


「バス……下ろしてもらった……

はあはあ…

だってっは……窓から見えたから……

はあ、


しのちゃんが何か言いながら走ってくるの。


-----っで、


転ぶんじゃないか心配で、

無理やり下ろしてもらって……」



ふうっ


息を整えるように大きく深呼吸して、


そして笑った。



「運転手さんに嫌み言われた。」




「嫌み?」



「痴話げんかはよそでやってくれって」



「痴話げんかなんて……してない」



「そうなんだけどね」

汗をぬぐいながら


ウィンクするように片目をつぶった。



はたから見たらそう見えたのかな?


仲直りできないカレカノみたいな?


「ふふっ」


「ははっ」