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「荷物はこれで全部運べたの?」


「はい、色々急にすみません」


「あら私は嬉しいわ、娘ができた見たいだもの。

 でも、いいの?

 通えない距離じゃないし、

 部屋だってここじゃ狭いでしょ?」

「いいえ、一人で暮らすのには充分な広さてす。

通勤時間がない分、仕事に没頭できるし、

 実家にはいつだって帰れる距離だから、

 恋しくなったらすぐ帰れる距離っていうのもありがたいんです」


「そお?何か手伝うことがあったら言ってね?」


那珂井さんは、そういい残し階段をリズミカルに降りていく。

箱から本を取りだしながら、

フーッとため息を着いた。


あれから、私は一人になる選択した。


家族からも離れて自立することを決めたのだ。


仲違いしたわけでも遠慮したわけでもなく、雛が巣立つように、

親元を離れて自立を目指すためだ。


実家には、お姉ちゃん夫婦がうつりすむことになった。


これから子育てをしていくためには、

高層マンションより、

古い一軒家の方がいいし、

なにより、パパに家族を作ってあげられるからだ。


これは、私が提案した。


普通の家族とは違う、家族かもしれないけど、

お互い思い合うきもちは変わらないと思う。


依存でも、遠慮でもない、

ましてや義務でもない、成長のための自立。


もしくじけたら戻れるという甘えも残して……