最低な私が最低な結末を選択して、

やっと帰りついた家の前で、

うろうろするのは、

二日間家を空けていたパパだった。



「パパ?」


「しのぶ……

良かった。

こんな時間まで帰ってこないから、

心配するじゃないか。」



「ごめんなさい……っていうか、

パパこそ、私に黙って出張行って帰ってこなかったじゃない。」


「詩信……誕生日おめでとう。」 
 

忘れていた。


今日が私の誕生日だったってことを。



「今日……」


「そうだよ。今日が詩信の二十歳の誕生日だろ?」


もう11時を回っている。

ずっと不安で、それでも待ち望んでいた二十歳の誕生日だったんだ。


なのに、私はたった今、大切に思えた人にさよならを告げてきた。

私のせいで、体をこわしてしまいそうだったあの人に、

さよならを告げてきた。


「どうかしてる」


冷たい空気に向かって、

捨て台詞のように吐き出した。


パパはそれが聞こえたのか苦笑いしながら、玄関を開け、早く入れと促す。


寒さに押されながら黙って頷いてそれについて家に入った。