「え?ここ?」


「ここなの、ごめんあまりきれいなお店じゃなくて」


俺が時々通う、

居酒屋「楡」

「まさかお義兄さんてここの楡崎さん?」

「うん。知ってるの?」


知ってるも何も、楡さんにはもういろんなことをしゃべりすぎるくらいしゃべってる。

「結構、ここに通ってたりして……」

「ええっそうなの?世間て狭いね!」


「こんにちわ!」

まだ暖簾の出てない状態なのに、臆せず入っていく彼女は、

確かに、ここの関係者だ。

後ろから、おずおずと入ると、

楡さんは、チラリと俺に視線を向けた後、

ブハハっと大笑いした。

「やっぱりそうだったんだな」