*。・*。・*・。・*。・*。.

「ありがとう」


「あ、いやいや」


人が変わったからって、大人しく外されるはずもなく、

カラスは大暴れ、

でも、さすが男の子なんだな、

それにひるむことなく、

あっという間に針金を外して放してあげていた。


なのにカラスったら恩知らずにも程がある、

とどめの一突き、

宮君のおでこにあびせて、

アホーアホーと鳴いて逃げて行った。


「おでこ、大丈夫?」

「え、ああ、ここ?うん大丈夫だよ」


ごしっと、おでこを拭おうとした手は、

もっと傷だらけで、

なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「こんなにケガしてて気がつかなかった、

 血が出てるし、


 ごめんなさい」


バックからハンカチを出すと、

右手をきゅっと縛った。


「こんな時、ばんそうこうでも持ってるような女の子だったらよかったのになあ」

宮君は、

「ハンカチでも十分だよ。

 ありがとう。」


と言って、ふふっと笑う。


キュンっ


胸が苦しい。