「なあ、飯食いに行くか?どーせ食ってないんだろ」





尚之とリリアの披露宴は立食パーティーで、大きなテーブルに様々な料理が並んでいた。


そんな中で私はふと目についたスプーンに乗ったいくらサーモン巻きを一口食べただけ。


それからぼんやり座ってテラスに逃げたわけだしね。





「いいよ。帰っても暇だし。それに…」





‘今日は一人でいるのは嫌’


そう言いそうになったのを我慢して頭を振ると。





「丁度私も誘うつもりだった」





なんて嘘を言って窓から見える海の景色をただただ眺めてた。


和哉も分かったと言ったっきり口を開こうとしない。


ラジオと車の音だけ。


そんな静けさに――、唇を噛み締めた。