『24日、暇?』

『夜までバイトです』

『クリスマスイヴなのにバイト?』

『他のバイトのみなさんは忙しそうで、わたしは特に予定もなかったのでそうなりました』

『そっか。仕方ない、諦めるわ。本当は食事に誘いたかったんだけどさ!』

このメールが来たとき、わたしは少し泣いてしまった。

両親は共働きでとても忙しそうにしていたので、家で1人で過ごすことには慣れていたし平気だった――でもクリスマスだけは別だった。

テレビをつけても窓の外を見ても、キラキラとした電飾や温かい部屋の明かり、そしてその中の笑い声や幸せそうな笑顔までもが見えてきて、時計の秒針の音だけを聞きながら1人で夜ごはんを食べている自分は、まるで世界から放り出された存在かのような気持ちになるのだ。

夜にはちゃんと両親とも帰ってきて、わたしを抱きしめて「ただいま、寂しい思いさせてごめんね」と言ってくれて、25日の朝起きると枕元にプレゼントが置いてあるのだけど、なぜかクリスマス間近になると薫りだす、誰かに寄り添いたくなるあのほんのりと甘い空気は好きになれなかった。

結局寂しかったのだ、わたしは。

でも今年は、迫りくるその苦手な夜を一緒に過ごしたいと思ってくれている人がいる。

それだけで、わたしの心につっかえていたものは溶けてなくなったように思えた。

クリスマスを、好きになれそうな気さえしていた。