「隠してる?何を言ってるのよ…」
隠してるのは圭介の方じゃない。
何でわたしが、そんなことを言われないといけないの?
「だってそうだろ?プロポーズだの、信じられない様なことを聞いて、陽菜は全然言い訳すらしてこないじゃないか」
「言い訳どころか、話す機会を与えてくれないのは圭介の方でしょ?」
同棲を断ったのを聖也のことが原因だと思い込んだまま、わたしを少しも信じてくれてないのは圭介なのに。
「オレを信じないって言ったのは陽菜じゃないか。一方的に断ち切ったんだろ?話す機会も何もないよ」
「どっちが一方的よ。ホント、意味分からない」
圭介の言葉が支離滅裂で、話す気も失せてくる。
今度こそ手を払いのけると、ドアを開けた。
「陽菜!待てって」
それでもしつこい圭介に、わたしは振り向きざまに一言残したのだった。
「隠し事をしてるのはどっち?ホント、最低」

