優しいカレの切ない隠し事



今日が、聖也と再会してまだ二度目だというのに、なんだか落ち着いた気分だ。

まあ、もともと学生時代にずっと付き合っていた人だし、別れてからの時間の方が、付き合っていた時間より短かったりするから、それもそうなのかも。

「よし!頑張ろ」

気合いを入れて廊下を足早に歩いていると、

「ちょっと待て」

後ろから圭介に腕を掴まれ、近くの会議室へ入れられたのだった。

「け、圭介…」

眉間にシワを寄せて、怖い顔でわたしを見下ろす。

「オレは、絶対に許さないって言ったろ?なんで言うことが聞けないんだよ」

「何でって…。圭介の足を引っ張ることなんてしないから安心してよ」

腕を振りほどき、ドアを開けようとする手は、再び掴まれた。

「陽菜、何か隠してることがあるんじゃないか?だから、聖也さんのこと何も言えないんだろ?」