優しいカレの切ない隠し事



セックスで汗ばんだ体をシャワーで流して、わたしたちは近くの店で夕食にした。

そこは、いかにも庶民的な定食屋で、オシャレな感じは一つもない。

だけど、その『フツー』な感じが心地いい。

当たり前のカップルとして、圭介と時間を過ごせたら、それだけで幸せだから。

「あーあ。今夜は別々かぁ」

時刻はすでに21時過ぎ。

圭介は夜空を見上げてため息をついている。

「うん。別々だね。でも、すぐに明日あえるじゃない」

クスッと吹き出すと、睨まれてしまった。

「何がおかしいんだよ。陽菜は余裕だな」

「別に、余裕なんかじゃないよ」

またまた吹き出すわたしに、圭介はさらに恨めしそうな視線を向ける。

気付いてないんだね。

圭介に愛されてるって分かるから、余裕な発言が出来るってことに…。