優しいカレの切ない隠し事



30分ほど経ち、車は雑木林の間を登って行く。

道自体は整備されていて、快適な走行だ。

頂上へ着くと古びた神社が見え、砂利道で車は停まったのだった。

「着いたよ。さすがに、平日の昼間だから静かだな」

圭介は車を降りると、辺りを見回している。

「本当ね。それに眺めがいい」

高台にあるお陰で、眼下の街が見下ろせる。

春の暖かい日差しと小鳥のさえずりに、心が癒されていくみたいだ。

「取材の許可は取ってあるから、まずは神社を写しておこう。とりあえず、何でも撮って。オレはこっちから写すから」

「うん!」

小さな神社とはいえ、伝統があり厳かな雰囲気だ。

半分緊張しながら見回すと、大きな岩が目についた。

「あれ何だろう」

高さは背丈以上で幅も広く、大人の男性でも抱えたところで両手が届きそうにない。

近くに行き案内板を見ると、そこには『子宝祈願』の文字が見えた。