優しいカレの切ない隠し事



何て、ロマンチックな神社だろう。

「じゃあ、わたしが感じた栞里さんの様子も、勘違いだったのかも。そんな素敵な話がある神社に、嫌な思い出があるわけないもんね。それとも、今の彼氏さんと行きたいのかなぁ」

すっかりテンションが上がりペラペラ喋っていると、信号待ちで車が停まった瞬間に、圭介の人差し指がわたしの口を塞いだのだった。

「内田の話じゃなくて、オレたちの話をしよう。取材とはいえ、そんなロマンチックな神社に行けれるんだからさ」

「うん…」

ホント、その通りだ。

あくまで仕事だけど、そんな縁起のいい神社に行けれるんだから、御利益をもらってこよう。

栞里さんのことは頭の隅に追いやり、座席に座り直したわたしは、デジカメを握りしめ、はやる心を抑えるのに必死だった。