「だって…。つい、忙しくて…」
「言い訳だろ?ったく、陽菜にも困ったもんだな」
ため息をつく圭介に、わたしは小さくなるしかない。
こういう時は、完全に上司の顔だ。
「今度はちゃんと調べておくから教えてよ。栞里さんがね、初姫神社に取材に行くって知って、様子がおかしかったの。何だか気になって…」
「内田が?そっか…。初姫神社って、実は縁結びの神社なんだよ」
「えっ!?そうなの?」
「知らなかったろ?地味な感じだからな。名前が初姫になったのは、明治の頃からなんだ。それまでは、地名から取られた名前だったらしい」
「へぇ」
スゴイ…。
圭介って、そんなに詳しいんだ。
それにしても、縁結びの神社なら縁起が良さそうだし、栞里さんが硬い表情をした理由が分からない。
それとも、わたしの勘違いだったのかな…?

