そう。
結局、圭介の海外勤務は、次回のチャンスまで見送られることになったのだった。
わたしの初姫神社の記事だけでは、インパクトが足りなかったというわけ。
さらに、栞里さんが担当になった花井旅館は海外デビューが決まり、それと共に担当も親会社に移された。
そう、涼太さんの手に。
旅館の海外デビューがロンドンなこともあり、海外勤務をするのは涼太さんに決まったのだ。
「何度も言うけど、オレは陽菜がいればそれでいいんだ。もう気にするなよ」
「う、うん…」
と言われても、気にならないわけがない。
圭介は、なんだかんだ言っても優しいから、そう言ってくれてるのかも。
そんな風に考えれば考えるほど、ますます自己嫌悪に陥るのだった。