優しいカレの切ない隠し事



「地味な神社って言われてるけど、最近は口コミで広がってるみたいねぇ」

栞里さんはハガキを読みながら、感心した様に呟いている。

「あの、栞里さん!わたしに、この神社の取材を譲ってくれませんか?課長には、わたしから頼むので」

「えっ!?わたしは構わないわよ?元々、陽菜ちゃんの取材先なんだから。だけど、突然どうしたの?」

わたしの唐突な願いに、栞里さんは目を丸くしている。

「いえ、ちょっと。やっぱり後ろ髪引かれる思いがあって。だって、縁結びの神社じゃないですか?」

敵を欺くには、まず味方から。

栞里さんには聖也の秘密を打ち明けてはいるけれど、今は涼太さんの彼女。

ロンドン転勤においてはライバルだ。

本音を隠して説明をすると、納得してくれたのか笑顔を見せた。

「分かったわ、陽菜ちゃん。大変だろうけど、頑張ってね」

「はい!」