「だけど、夢を叶えたいって普通に思うじゃない」
圭介にとっては迷惑なのかな…。
肩を落とすわたしの頭を、圭介は優しく撫でたのだった。
「ありがとう。だけど、海外勤務は一人で叶えたい夢じゃないから。陽菜に突っ走られると、ちょっと困るかな?」
「どういうこと?わたしが迷惑ってこと?」
不安げに見つめると、圭介はゆっくりと首を横に振った。
「むしろ、その逆。オレは陽菜と一緒に、ロンドンに行きたいから」
「わたしと一緒に…?」
「そう。だから、今から覚悟しといて。オレは、絶対に陽菜と夢を叶える。その為に頑張るのはオレの方だから」
そう言って圭介は、わたしの頭をポンポンと軽く叩くと給湯室を出て行った。
ここが会社じゃなきゃ、絶対に追いかけたのに。
胸がキュンと高鳴るのを感じながら、聖也の条件を思い出していた。

