シーズンオフでも花井旅館は忙しい。

取材に訪れる度に思ってたことだ。

近い未来、海外進出も考えているほどだから、その人気は当たり前なのかもしれない。

それに、調べれば調べるほど、聖也の評判の高さも分かった。

斬新で画期的なアイデアを出す御曹司。

そんな言葉と共に、メディアに取り上げられていたのだ。

だからこそ、頭を下げてでもいいから、協力してもらいたかった。

圭介の為に…。


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「嫌だね」

「何で?少し掘り下げて取材を受けて欲しいだけなの。機密情報までは話さなくていいから」

さっそく聖也に事情を話したというのに、腕を組んでふんぞり返っている。

「何でオレが、松山課長の出世の協力をしないといけないんだよ?ふざけんな」