優しいカレの切ない隠し事



「陽菜、オレも手伝うよ」

洗い物をしていると、圭介が手伝いに来てくれた。

「ありがと。でも、圭介は座ってていいよ。疲れてるでしょ?」

「疲れてるのは、陽菜だって同じだろ?」

腕まくりをして、圭介はお皿を洗い始める。

こうやって並んでいると、ますます新婚さんみたいでドキドキだ。

「ねえ、圭介。昼間、栞里さんと話をしてきたよ」

「ああ、栞里から聞いた。ちゃんとフォローして欲しいって。いろいろ、嫌な思いをさせててごめん」

「ううん。もういいの。意地を張ったり、言葉足らずだったわたしにだって責任はあるし。それより、ちょっと嬉しかったんだよ?同棲しようって言ってくれたの、わたしにだけなんだよね?」

そう言うと、圭介は恥ずかしそうに苦笑いをした。

「そうだよ。栞里の時は、同棲をすることで、会社にマイナスイメージに見られるのが嫌だったから。まあそれが、栞里に寂しい思いをさせることになったんだけど」