お互いを想う気持ちか…。
栞里さんの言葉は、当たり前といえば当たり前だけど、改めて気付かされた気がする。
そしてランチを済ませたわたしたちは、オフィスに戻ったのだった。
すると、珍しく親会社から部長がやって来て、圭介を連れて別室へと消えていくのが見えた。
「栞里さん、部長は何の用なんですかね?」
そもそも、親会社の人がここへ来ることなんて滅多にないのに。
「たぶん、ロンドン勤務の話じゃないかな?涼太と圭介が、今一番有力候補らしいから」
「ロンドン?そんな話が出てるんですか?」
それって、圭介がずっと目標にしてきたことじゃない。
「陽菜ちゃん、聞いてなかったの?だったら、ちゃんと課長に聞いた方がいいよ」
栞里さんはそう言うと、仕事に戻っていった。
今の口ぶりだと、ロンドン勤務の話は既に出てたってことか。
つまらないケンカなんて、するんじゃなかった。
ロンドンの話だって、真っ先に聞きたかったのに。