「そんなことがあったの?」

予想通り、栞里さんは驚いた様子で目を丸くしている。

「はい…。とても圭介には言えなくて…」

「うーん。そうよね。もう少し様子をみてもいいんじゃないかな?話す方がいいのか、黙っている方がいいのか、正直分からないものね」

「ですよね」

ホント、自己嫌悪でいっぱいだ。

結局、圭介と聖也の両方を裏切る行為をしたんだから。

「陽菜ちゃん。恋ってさ、この歳になっても、やっぱりうまくいくことばかりじゃないって思わない?」

それがわたしをフォローしてくれている言葉だと分かるから、素直に小さく頷いた。

「それが恋愛なんだと思うよ?圭介と陽菜ちゃんなら大丈夫。わたしが言うのも変かもしれないけど、大事なのは二人がお互いを想う気持ちだもの」