「聞きました。お二人の関係と、別れた理由を。それと、初姫神社の二人のキスも…」
それを言うと、栞里さんは目を伏せた。
「ごめんね、陽菜ちゃん。傷つけるつもりはなかったの。わたしも今、涼太とケンカしてて、あの日わたしも圭介も、間違った選択をしちゃった」
「もういいんです。圭介から聞きましたから。それより、涼太さんとケンカって、何かあったんですか?」
すると、栞里さんは小さな苦笑いを浮かべたのだった。
「たぶん、わたしが圭介と過剰に接してるのを気付いてるみたい。ほら、陽菜ちゃん覚えてる?わたしが雑誌の部数をミスしたこと」
「あっ、覚えてます。わたし、あの夜の二人も見ちゃったんです。栞里さん、圭介に泣きながら抱きしめられてて…」
「それも見られてたんだ」
体の力が抜けるように、栞里さんはため息をついた。
「偶然だったんですけど…。あの夜、圭介の足を引っ張りたくないって、栞里さんそう言ってましたよね?」

