優しいカレの切ない隠し事



なんて幸せなんだろう。

圭介の朝ご飯は美味しくて、出勤前はキスをして、そしてプロポーズの約束なんて。

「陽菜ちゃん、ご機嫌ね。課長も機嫌がいいし、仲直り出来たんだ?」

「栞里さん!?おはようございます」

浮かれてる場合じゃない。

完全に浮き足だったわたしは、栞里さんの声に我に返った。

圭介には栞里さんを涼太さんに寝取られたという過去があるのに、わたしってばすっかり頭から抜け落ちていたなんて…。

「良かった。安心したな。これで、わたしの言い訳も聞いてもらえるといいんだけど…」

「もちろんです。栞里さんとも話がしたいので」

あんな切ない過去があって、圭介はいつもどんな気持ちで栞里さんを見ていたんだろう。

それも考えないで、一人で浮かれてる場合じゃない。