優しいカレの切ない隠し事



そうだった。

圭介の部屋で過ごすことが多かったから、着替えは何着か置いてあったんだった。

思えば、とっくに半同棲みたいなものだったのよね、わたしたち。

「ねえ、圭介。わたしが同棲を断った理由なんだけど…」

そう切り出すと、圭介はトーストを食べる手を止めたのだった。

「朝から、その話かよ。いいよ、無理に言わなくても。オレも聞く勇気がないから」

「ううん。違うの。わたしね、圭介からのプロポーズ待ってたから」

「オレからのプロポーズ?」

「うん。同棲しちゃったら、その生活に満足したりして、プロポーズがなかなか貰えなくなるって聞いたことがあったから…」

恥ずかしいけど、正直に話してしまおう。

今なら、わたしたちの仲も大丈夫。

ドキドキ緊張しながら圭介の反応を見てみると、口に手を当て目を泳がしている。

「ひ、引いた?」