優しいカレの切ない隠し事



そういえば、圭介と栞里さんも社内恋愛なのに、誰も知っている人がいないんじゃないのかな?

だから、わたしも気付かなかったわけだし、何でだろう…。

なんて考える夢を見ていると、圭介のキスで起こされた。

「おはよう、陽菜。もう朝だぞ?」

「え…?もう朝?」

優しい圭介の笑顔が、わたしを見下ろしている。

いつの間にか、朝まで眠っていたみたい。

「支度しないとな。朝ご飯作ったから、一緒に食べよう」

「圭介が作ってくれたの?」

「そうだよ。ほら、起きて」

腕を引っ張られ起き上がる。

すると、ダイニングテーブル上に、香ばしい香りのするトーストと、綺麗に盛られたサラダの小鉢、それにヨーグルトが置かれていた。

「美味しそう!圭介、スゴイね」

「だろ?陽菜がいてくれるだけで、頑張ろうって思えるんだよ」

「圭介…」

満足そうな笑顔を浮かべる圭介は、ぽつりと呟いたのだった。

「着替えは、元々置いてあるのがあるだろ?それに着替えていけばいいよ」