「圭介!?」

タイミング良く、聖也は他の場所で話をしていて気付いていない。

圭介を裏切る行為をしておきながら、やっぱり聖也と一緒にいるところは、あまり見られたいものじゃなかった。

「可愛いな、陽菜。着物、どうしたんだよ?」

「あ、これ…。聖也から借りてね。着付けとヘアもしてもらったの。圭介こそ、どうしたの?着物」

聖也と似たような濃紺の着物だけど、圭介が着るとかなり色っぽい。

つい見とれてしまいそうになりながらも、今は浮かれてる場合じゃないと言い聞かせた。

「聖也さんて、そんなことも出来るのか。オレのも借り物。実は今夜は、聖也さんのお母さんから招待を受けて来たんだよ」

「えっ!?聖也のお母さんから?何で?」

お母さんと聞くだけでドキッとするのに、どうして圭介に接触してるのよ。

もうこれ以上、3年前を思い出させないで欲しい。