「でも、翔太は親が頼み込んだからきっとシェアハウスに住めたんだと思うよ。」

「そうなのか…。」
「うん。」

「俺、山本さんの過去がこんなにも酷かったなんか知らずに…。」

俯いて自分が悔しすぎて下唇を噛んだ。
「娘みたいになって欲しくないって思ったんじゃないかな。」

桃は優しく背中を撫でてくれた。

「俺、山本さんに自分の思いぶつける。」

「えっ?」

「もし無理だったらそん時はそん時で考えればいい。」

「適当すぎでしょ。」

「まぁ!頑張る。じゃあな。」

「私の恋は稔らなかったけど、翔太は幸せになってほしいな。」

桃の最後に言った言葉は翔太には当然聞こえなかった。