分かってるよ。
でもね。
───でも、怖い。
そんな私の心の中を見透かすように茜は口を開いた。
「何が、そんな怖えんだよ」
重なったままの茜との視線。
その目は、心なしか優しく感じて。
全部吐き出せ、そう言われている感覚になって。
ジワリと、目の奥が熱くなる。
気づけば私は口を開いていて、震える声で不安を吐き出していた。
「……茜が、噂のことを知って軽蔑して離れていく覚悟ならしてた。けど、信じてくれて、これ以上仲良くなっていく覚悟はしてないよ。ましてや、これ以上仲良くなってから裏切られる覚悟もしてない…!
………だから、怖いんだよ…」
最後の声は、弱々しくて。
聞き取れたかな、聞こえてて欲しい。
そう思って茜を見ると、また小バカにしたようにフッと笑われた。
「覚悟なんて、んなもん。ぜーーーーんぶ要らねぇんだよバカが」
そういい放った茜に、私は目を見開いた。



