「私の言ったことが、嘘かもしれないじゃん。噂が、真実かもしれないじゃん」



──私の言ったことが本当だって証明できるものは、なにもないでしょ?



なのに、なんで。




「そうかもな。でも俺は少なくともお前って人間を分かってるつもりだし。
どこのどいつが言ってるかも分からねぇ話なんざ信じるよりは、お前の言ったこと信じた方がいいだろーが」




「…だけど」



バカだ、私は。

…どこまで弱いんだろう。


信じて欲しくてたまらなかった。

私の噂は全部嘘だって分かって欲しかった。




──でも、分かって貰えたら貰えたで怖いんだ。


もし何かあって、また信じて貰えなくなったらって考えたら怖い。


私から離れて行っちゃうかもって考えたら怖い。



「だって今まで誰も信じてくれなかったんだよ…?仲間だった人たちも信じてくれなかった!!
それなのに、まだ会って一週間しかたってない茜が信じてくれるなんておかしい…!!」





めんどくさいことを言っているのは分かってる。