「──途中で電話切るんじゃねえよ、バーカ」
なんとか、目を凝らして。
薄れていく意識の中、ニヤリと笑った茜の顔が見えた気がした。
本当に、茜?
だとしたら──その人たちは、誰?
意地悪く笑う茜に声をかけようとするけど、でなくて。
そんな私の元へ、茜の横にいた誰かが駆け寄って来る。
だれだろう?
栗色の髪、優しい顔。
みたことのある、シルエット。
「よく頑張ったね、もう大丈夫だから」
ふわり、優しく笑うその顔とその声を私は知っている。
──朝陽さん?
「茜って、あの…っ!?聞いてねぇよ!」
「な、なんで、お前ら白龍がここに来てんだよ!」
「おれの“話し相手”が困ってんだ、助けるのはあたり前だろーが。馬鹿かテメェ」
──ねぇ、白龍って、なに?
何処かで聞いたことのあるフレーズを、最後に耳に入れて。
私は、今度こそ意識を手放した。